至福の時。

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至福の時。

…夜 9時前。 携帯電話の着信音で目を醒ました。 あれ? なんで大根握りしめて、テーブルにもたれ掛かったまま寝てるんだろう。 頭が痛いし、身体が重い。 それで思わず寝ちゃったんだった。 そっか、夕食。 その前に電話…。 ――真継君だった。 「は、はい…」 気だるさの中 電話を取った。 『祈里か?悪い。今日は帰れそうにない。明日までにやらなきゃならない仕事がある。そのまま会社に泊まる』 低くて、心地良い声。 朝ぶりに聞いた真継君の声に安堵して、思わず熱い目蓋から涙がこぼれる。 「うん。分かった。…がんばってね」
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