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貴方の姿を見なくなってずいぶん経つ。
今、貴方はどこで何をしてるかしら?
「あぁ、重かった~」
帰ってきた真子ちゃんの手には買物袋いっぱいの食材。
あぁもう、そんなに買ってきて。一人暮らしなんだから、また冷蔵庫で腐らせちゃうよ?
鼻歌を歌いながらの夕食作り。今日はバジルのパスタにサーモンと生ハムのサラダ。
あとはここに貴方がいれば、完璧だったのに。
ピンポン……
チープなインターフォンの音に真子ちゃんがいそいそと扉に向かう。
「どうしたの?今日来るなんて聞いてないよ?」
「とか言って、待ってたくせに」
テーブルを見た彼が、笑って鞄から青いマグを取り出した。
あぁ、貴方だ。
「研修も終ったからこれはここに。ペアのマグカップはやっぱり二つ揃わないと絵にならない」
「これを揃えるためにわざわざ来たの?」
「俺達も揃わなきゃ絵にならないだろ?」
テーブルに並んだ料理は二人分。
赤い私の隣には青い貴方。
こんな小さな幸せがすごく嬉しい。
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