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「うわ……梨玖くん、かっこいい……」
エレベーターから出て来たアイスグレイのショートフロックコート。
初めて見る正装に身を包んだ彼に、感嘆の声が漏れた。
メイクさんに髪をセットしてもらい、薄くファンデーションで整えた彼はプロのモデルでも通用する格好よさ。
「はは。ありがと。なんか照れるね。真子もドレスすごい似合ってるよ。めちゃくちゃキレイ」
ふわりとそう笑って褒めてくれた。
「あは……。ありがと」
嬉しい。
女の子の憧れの、純白のウェディングドレス。
大きなパニエで膨らませたAラインドレスをひるがえし、くるりと回ってピースでキメてみた。
ガーデンに開かれた大きな窓からキレイな青い空がのぞいてる。
2月の寒空の下では花も咲かないけど、結婚式には持ってこいの晴天。
「行こうか」
梨玖くんがあたしにそう言って、手を差し延べた。
ドキン……
差し延べられた右手にレースを纏ったあたしの手を置き、一歩踏み出す。
胸が高まる。顔がほてって、ドキドキが止まらない。
……幸せ。
そう思った。
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