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俺の親友だった相澤(あいざわ)が死んだ。
酔っぱらいが運転してた大型トラックにはねられたって。
即死。
どう考えたって相手が悪い。
相澤はちゃんと信号が青になってから渡った。
無視したのはあっち。
なのに、相澤が運ばれた病院で必死に“俺は悪くない”って連呼してた。
“相澤と代われよ”
初めてこんなにも人を憎いと思った。
相澤は身体への損傷が激しくて、親友だった俺でさえも死に顔を見せてもらえなかった。
葬式も家族だけで行われ、墓の場所も教えてくれなかった。
せめて線香だけでもと思い、相澤の家に行くと母親から言われた。
“あなたがあの日優也と約束なんかしなければ”
運転手は葬式から間もなく自殺した。
恨まれているのは運転手ではなく俺だった。
涙なんか流れない。
流さない。
流したくない。
確かに俺たちは親友で、互いのよき理解者だった。
俺がそれ以上の感情を持っていたなんてアイツは知らない。
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