やることない夏休み

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――コンコン と、どこからともなく音が聞こえた。 ――コンコンコンコンコンコン 気のせいかと思ったが違う。 音のするほうに目をむけてみた。 そこにいたのは―― 「紅音!?なんで、ベランダにいんの?」 俺はベランダの鍵を開け中に招いた。 「よかった。先輩生きてたんですね……ぅ……」 と、泣きそうな声で紅音は言った。てかこいつ泣いてないか? 「私の…ぅ…せいで、先輩死んじゃったらどうしようかと……うわあああああああああん」 紅音は壊れたように泣きはじめた。 俺はどうしていいのかわからなくなった。 「おいおい、なくなって。俺はこうして今生きてるんだからそれでいいだろ?あのことはもうきにしなくていいからさ」 「……怒ってない?」 そんな小動物みたいな目でみてもなにもでないよー? こいつ、可愛いな…… 「ああ、怒ってない。だからもう泣くな?」 「……うん」 「よし」 俺は紅音の髪をぐしゃぐしゃに撫でてやった。 紅音は心底嬉しそうにしていた。
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