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ここまできて、急にあっさり手を引くとは
もっと早く私を解放しろよ。
「それでは失礼します。」
淡々と言い文句を顔に表しながら
とりあえず来た道を戻る事にした。
時間はもう深夜をまわっているはず。
途中、運良くタクシーを捕まえられれば、無事家に帰れる。
駄目でも、どこかのビジネスホテルに泊まって朝をむかえれば良い。
しかし、5月の夜は体を冷えさせる。
重ねてあるにしてもドレスはドレスだ。
足から来る風はさすがに、こたえる。
「本当、寒い。」
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