三話め

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「………」  そんな二人のやりとりを見て、秀は微妙に目を半眼にする。  内心では思う。  確かに梨佳は、あんまり変わっていないかも知れないな……と。  こんな事を言うのは、他でもない。  彩音と梨佳の二人は、昔からこんな感じだったからだ。  つまり、不毛な対抗心から来る、無駄な小競り合いが、数年の時を経て――今、ここに復活したのだ。  なんて迷惑な物を忠実に再現してるの? アンタらわ! と、ぼやき文句の一つも吐き捨てたくなる様な光景に、  秀は……なんか、途方もなく疲れた顔なんかをみせていた。 「……はぁ」  思わず、ため息。  今にして思えば……何かと彩音に対抗心を燃やしていたのは、  1にも2にも、秀が絡んでいた様な気がする。  そして……それは彩音にも、同じ事が言えた。  当時は、今ほどブラコン化が進んでおらず、むしろ普通の兄妹と言う関係を自然と作っていたわけなのだが、  そう思っていたのは、自分だけだったのかも知れない……と、この時の秀は思った。
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