1225人が本棚に入れています
本棚に追加
/839ページ
「………」
そんな二人のやりとりを見て、秀は微妙に目を半眼にする。
内心では思う。
確かに梨佳は、あんまり変わっていないかも知れないな……と。
こんな事を言うのは、他でもない。
彩音と梨佳の二人は、昔からこんな感じだったからだ。
つまり、不毛な対抗心から来る、無駄な小競り合いが、数年の時を経て――今、ここに復活したのだ。
なんて迷惑な物を忠実に再現してるの? アンタらわ! と、ぼやき文句の一つも吐き捨てたくなる様な光景に、
秀は……なんか、途方もなく疲れた顔なんかをみせていた。
「……はぁ」
思わず、ため息。
今にして思えば……何かと彩音に対抗心を燃やしていたのは、
1にも2にも、秀が絡んでいた様な気がする。
そして……それは彩音にも、同じ事が言えた。
当時は、今ほどブラコン化が進んでおらず、むしろ普通の兄妹と言う関係を自然と作っていたわけなのだが、
そう思っていたのは、自分だけだったのかも知れない……と、この時の秀は思った。
最初のコメントを投稿しよう!