三話め

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「…………………はぁ」  秀のため息が、普段よりぐっと重味が増していた。  当社比1.5倍ぐらいあった。  程なくして――  ぐぐぅ~  ――と、腹の虫が鳴る。  時計を見れば……昼休みが後10分程度で終了してしまう。 「………」  秀の額に汗が流れた。  心の中では、微妙にハンベソになっている。  こ……このままでは、メシ抜きになってしまう!  思った秀は―― 「――あ!  あれは、何だっ!」  ハッ! と、何かに気付いた顔をして、あさっての方角を刮目する。 「……え?」 「……何があるんだ? 兄?」  突発的にあさっての方角を凝視した秀を見て、二人は間もなく、つられる形で秀の視線を追う。  果たして、秀が刮目した場所には……何もなかった。 『……?』  これに二人はきょとんとなる。  しばし、ハテナを頭上に浮かべ、何もない事を確認してから言った。 「……何もないぞ、兄?」 「何もないみたいだけど?」  そう答え、二人は同時に振り向き……気付くのだ。  そこにいた秀が、いなくなっていた事に。
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