1225人が本棚に入れています
本棚に追加
/839ページ
「…………………はぁ」
秀のため息が、普段よりぐっと重味が増していた。
当社比1.5倍ぐらいあった。
程なくして――
ぐぐぅ~
――と、腹の虫が鳴る。
時計を見れば……昼休みが後10分程度で終了してしまう。
「………」
秀の額に汗が流れた。
心の中では、微妙にハンベソになっている。
こ……このままでは、メシ抜きになってしまう!
思った秀は――
「――あ!
あれは、何だっ!」
ハッ! と、何かに気付いた顔をして、あさっての方角を刮目する。
「……え?」
「……何があるんだ? 兄?」
突発的にあさっての方角を凝視した秀を見て、二人は間もなく、つられる形で秀の視線を追う。
果たして、秀が刮目した場所には……何もなかった。
『……?』
これに二人はきょとんとなる。
しばし、ハテナを頭上に浮かべ、何もない事を確認してから言った。
「……何もないぞ、兄?」
「何もないみたいだけど?」
そう答え、二人は同時に振り向き……気付くのだ。
そこにいた秀が、いなくなっていた事に。
最初のコメントを投稿しよう!