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阿呆すぎる森木でもドラムは「ここに合わせて叩けばいんでしょ?」と阿呆な解釈をしているみたいだった。ゴルフもボウリングもその理論。それからしばらく練習をして、マネージャーが来たから休憩がてら打ち合わせ。とりあえず来週は新曲発売のプロモで音楽番組が立て続けに入っている。
「貴さん、聞いてます?」
「聞いとるて。大人やぞ」
「大人は打ち合わせに携帯弄らないでしょ」
「直うるさいー」
マネージャーも多分本名を聞かされてないから愛称呼び。やって、携帯みたら藤原一裕からメール来とったから返そうと思っただけや。"俺って入ってたんで、貴さんに変えました。"そんなこと報告せんでええし。
「なあ、次何もない日いつ?」
「次は…来週から忙しくなるんで明後日に休み入れてます。」
マネージャーに確認してから藤原一裕に明日の夜にお礼をしたいと返信し、結局マネージャーの話は頭に残ってないからメールしておくように頼むと、他の三人もお願いしとった。
「なあ、あそこのテンポ少し上げへん?」
「直ー、ここフットとお前一緒だよな?」
「聞けやドラム!」
そんなこんなで何か疲れたからという勝手な理由でラスト通しして練習を切り上げた。帰りは四人で同居しているばかでかいマンションにマネージャーに送ってもらった。ばらばらに住むとみんなに家賃手当出さなあかんからとかなんとか、社長が言っとったから同居。まあ、部屋も4つあるからええねんけど。
「井本さん、洗濯物置いときますね」
「おー、菊ちゃんありがとう」
「井本さん飯出来ました」
「あ?今日も飯は栗なん?」
「何か森木さんが風呂とトイレ掃除の係になったんで」
「それ正解やわ。あいつの飯は不味い。」
同居し始めたころは全部ローテーションやったけど今は固定になったみたい。俺?俺は監督。やからなんもせんよ。
「あ、栗。俺明日晩飯いらんわ」
「え、デートすか」
「ちゃう、藤原一裕や」
「あぁ。了解っす」
あぁ、明日なんか。
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