~未来の見える少女の目には~

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
俺の彼女は未来を見ることができたそうだ。 他人事で申し訳ないが、俺にも理屈とかはよくわからない。 だがひとつだけいえることがある。 「俺の彼女は未来がみえた」 あぁ何回も繰り返してしまってすまない。 だが本当のことだったのだ。 あれはいつだったかな・・・ 数日前・・・ 俺の部屋でいつものように楽しく話していた彼女は、突然悲しそうな顔をした。 「どうしたんだ?そんな顔して」 普通このような疑問をぶつけられて 「ごめんなさい・・・私もうすぐトラックに轢かれて入院してしまうわ。あなたを困らせることになってしまう」 なんて答えが返ってくることはなかなか無いと思う。 だが、いつものことなので 「そうか、大丈夫。毎日お見舞いにいけるからまた話せるじゃないか」 と明るく接していた。 そしてこの二日後、本当に彼女はトラックに轢かれてしまった。 ・・・こんな話の後でとても申し訳ないのだが、実はこの後俺は浮気してしまう。そしてそれがすべての始まりだった。 それは、ある日のことだった。 俺はいつものように病院にお見舞いに行くと、同じ部屋にとても気の強そうなポニーテールの女の子が車椅子に乗っていた。 どうやら、その子と彼女はこの病室で仲良くなったらしい。 その子の名前は、木桐愛沙(きぎり あいさ)といって、高校で陸上をやっているそうだ。 愛沙もまた交通事故で入院したのだが、だいぶ前に入院して来たらしく、車椅子にも乗り慣れている感じだった。 しばらく通っているうちに俺も愛沙と仲良くなった。 彼女が検査中、よく二人で話している内にだんだん愛沙の魅力に憑りつかれていった。 普段未来が見えるせいで内気な彼女が可愛くて付き合っていたが、もう俺の心はこのとき既に活発的な愛沙にしか向いていなかった。 しばらくして愛沙は退院した。 その後も俺達の関係は続いていて何度か彼女に内緒で会ったりしていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!