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それはある晴れた夏の日のことだった…
少年は退屈だった。
夏休みの宿題はとうに終わり、 2学期、3学期の予習も済ませ、1学期の成績は学年トップ。
何もかも完璧すぎて…
いや、ひとつ欠点があるとすれば、友達と呼べる人が1人もいなかったことだけだった。
特にゲームや玩具に興味の無かったので暇の潰し方がわからなかった。
とにかくやることがなく、ただただ家の中で涼んでいるだけだった。
そして現在、山奥にある祖父母の住んでいるログハウスにいる。
少年は何気なしに、家の隣にある森へ向かってみた。
そこでは蝉が鳴き、吹き抜ける風が肌にあたり、ほてった体に心地良かった。
よく見ると森に子供が1人通れるくらいの穴があった。
穴と呼べるかどうかは分からなかったが、とにかく無性にくぐりたくなってしまったのである。
少年は母親と祖父母に少し山をみてくると言い、珍しく駆け足でさっきの穴をくぐっていった。
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