一人目 大家(オオヤ)さん

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 押して少し経つと、足音が近づいてきた。  ああ、緊張してきたなぁ。恐ろしい人だったらどうしよう? いやまて、確か老人って話だったような……。 「どちら様かな?」  低く、何か威厳のある声が聞こえた。 「あ、あの! ここに越してきました、原通と申します!」 「何? ああ、今日だったね。いや、私の方から行けずに申し訳ない」  よかった。優しい人のようだ。きっと、見かけも優しいお爺さんなんだろうな。  ガチャリと鍵が開き、ドアが開いた。 「いえそんな……って!? ななな、何ですかそのかっこぉぉお!?」  出てきたのは、しっかりした頭髪に、多少の髭をたくわえた、筋骨隆々、腰布一枚の半裸……いや全裸に近いじい様だった。 「……何か変かね?」  なぜかセクシーポーズをとられ、吐き気を通り越し、腹がたった。 「変なポーズとらんで下さい! 変ってか捕まるレベルの露出度ですよ!?」 「ふははは! そんな無様な事はありえんよ! 夜梅荘へようこそ!」  またセクシーポーズを決め、己の裸体を見せつける大家さん。なぜだろう、殺意が湧いた。
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