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「親睦を深めがてら、散歩にでも行かんかね?」
にじり寄る大家さんから、徐々に後退りながら身構える。
「い、いえ結構で……」
「家賃。わしの思いのまま何だけどなー」
「行かせていただきます」
生まれて初めて土下座して懇願した。泣きたくなった。
このじい様……もとい、じじい! 人の弱みを存じてらっしゃる。
「では行こうか」
「ええ!? そのまま行くんですか?」
「不満かね? ではこれも……」
腰布を取ろうとする大家を全力で止め、服を着る事を促した。
結果、聞きゃしねぇこのじじい!!
結局、腰布一枚そのままの散歩にでることになり、道を歩き続ける。
途中、近所の方々の冷たい、まるでゴミ虫を見るような目が突き刺さる。
「見たまえ、原君。皆々わしの裸体に釘付けだぞ!」
なぜか誇らしげな顔に、膨らむ殺意を抑えて、聞いてみた。
「あ、あの。一ついいですか?」
「うん? このボデーを見せつける最高の角度かね? それは……」
「違う違う違う! 他の住人の方々についてです!!」
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