封じられたモノ

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封じられたモノ

大学の課題レポートを仕上げているときのことだった。玄関でチャイムが鳴ったのは。 この安アパートにはインターホンなどという洒落た物はついておらず、こんな時は直接出向いて覗き穴から確認するしかない。セールスマンだったら嫌だな、などと考えながら仕方なく重い腰を上げ、玄関に向かうことにした。 覗き穴から見えたのは、薄暗くなってきた外の様子だけ。チャイムを鳴らしたはずの人物は見当たらなかった。 念のためドアを開けて確認することにした。しかしやはり見渡す限りでは誰もいない。 まさか、いたずら? 大学生ばっかりのこのマンションで? まったく、幼稚で暇なやつもいるもんだ。 そんな結論に達し、溜め息をついてからドアを閉めようとしたとき、視界の隅に廊下とは違う色の物が映った。 目をやると、そこには一辺四十センチメートル程の、薄い段ボールの箱が置かれていた。どうやら先程のチャイムはこれを持ってきた業者が鳴らしたようだ。 それにしても荷物を床に置いて早々と去るなど、都会の業者はなんといい加減な仕事をするのだろうか、などと嘆きつつ、箱を手に取ってじっくりと眺める。 差出人を書いた紙さえも貼っておらず、全面黄土色で模様も何もない。開けてみない限りは中身を知ることは出来なそうだ。 とりあえずそれを持ってリビングへと戻ると、すぐに一筋に貼られていたガムテープを剥がし、妙な緊張感の中でその蓋を開けた。
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