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中に入っていたのはとても懐かしい物。小学校時代に使っていた教科書だった。
何故こんな物が送られてきたのだろうか、と思うより先に教科書を開いていた。懐かしい内容によって当時のことが思い出される。
それと同時に違和感を覚えた。確かに描いたはずの落書き。それがないのだ。
記憶違いかと思いながらも裏面の名前欄を確認してみると、そこに書いてあったのは『山口亮』の文字。自分の名前ではなかった。
何故こんな物が?
ようやくそう思うと同時に、山口亮(やまぐちりょう)という少年のことを思い出そうと試みた。だがしかしそれは叶わなかった。
同じクラスにいたような気がするのだが、どうしても顔が思い出せない。
考えてもどうにもならないと判断し、とりあえず教科書を段ボールに戻すと、そのままクローゼットにしまい込んだ。
それでも気味の悪さから目を背けることは出来ず、一向に思い出すこともできなかった。
結局はっきりと思い出したのは翌日の夜のことだった。正確には思い出させられたのだが。
前日と同じような時間の出来事だ。またチャイムが鳴った。妙な胸騒ぎを覚えながら玄関に向かったのだが、その扉の向こうにはやはり誰もいなかった。
恐る恐るドアを開けてみると、昨日と寸分違わぬ場所に、昨日の物よりも一回り小さい段ボールが置かれていた。
それを室内へと持ち帰り、すぐにその蓋を開けた。中から出てきたのは数枚の写真。ずいぶん古い物のようだ。
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