封じられたモノ

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写真は全て、無邪気にカメラに向かってピースサインをする少年を少年の右側から写したもの。それらを見ると同時に脳が熱を帯びたように感じ、この少年こそが『山口亮』なのだと思い出した。 すると、まるでダムが決壊したかのように頭の中にいろいろなことが流れ込んできた。 彼、山口君はいじめられていた。自分は彼の唯一の友達だったのだ。 ある日彼と一緒に学校の裏山へと探検に行った。だが何か些細な理由で喧嘩になり、そして、彼を突き飛ばした。 その前日に降った雨のせいで湿った落ち葉に足を取られ、彼は、山の斜面を、転がり落ちた。 倒れたまま動かない彼を見て怖くなり、逃げ出してしまったのだ。彼を助けることなど全く考えずに。 翌日、彼は行方不明になったのだと伝えられた。それからしばらくの間はずっと怯えながら過ごしたのだが、次第に忘れていった。 きっとそれは能の防衛反応。罪悪感に心が潰されてしまわない様、記憶を封じたのだ。 何故今彼に関するものが送られてくるのだろうか。これは罪の告発か。それとももっと別の何かか。そもそも送り主は誰なのか。 疑問ばかりが浮かぶ。一つも答えが分からないそれらに悩んで一日を過ごし、また同じ時間になったとき、三度チャイムはなったのだ。 急いで向かったそこには誰もおらず、やはりそれまでと同じ場所に段ボールが置かれていた。 一つ目よりも二回り程大きなそれは、重さもそれまでの比ではなかった。それを両手で抱えてリビングの机の上に置き、ゆっくりとその封を解く。
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