-Prologue-

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ピリリリリリッ 朝の始まりのチャイム、目覚まし時計の警告音が外から聞こえる小鳥の囀(さえず)りをかき消しながら室内に鳴り響いた。 「……ん……、ふっ」 目覚まし時計を勢いよく止めて、再びベッドに顔を埋める。 (眠い……、学校休みたい……) そうは思っていてはいるものの、体はしっかり自分の役目が分かっているようで、すでに脳は覚醒してる。 (しょうがない……、起きるか……) 眠気眼をこすりながら起き上がり、体を伸ばす。 ぽきぽきと凝り固まっていた背骨達が、歓喜の声を上げていた。 端正な顔立ちは可愛さと綺麗さのどちらも感じさせる。寝癖はついていないものの、少し乱れたストレートでセミロングの黒い髪を整えながら彼女――池田 咲希(いけだ さき)は名残惜しそうにベッドから出た。 「咲希ー、早く起きないと遅刻するわよー」 ちょうど下から母の声が聞こえ、うるさいと感じつつ下の階に行くため部屋を後にした。
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