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咲希は授業終了のチャイムを聞くと、すぐに教室を出た。
優美に引き止められたが、用事があるからと言って厄介払いするようにしてしまった。
しかし、それでも咲希は止まらなかった。
下駄箱で靴を履き替え、外に出る。
咲希は、心臓の鼓動の周期が速まっているのを感じており、校門あたりまで歩いた時には、鼓動の速度に比例するように歩く速さが上がっていた。
昨日と全く同じ道、同じ店を見ながら歩く。
違う事と言えば、咲希の視界で流れる風景のスピードくらいなものだろう。
普段は気にならない人の多さも、今日に限ってはかなり鬱陶しい。
昨日の路上の前に着いた頃には、咲希は肩を大きく上下に動かして息をしていた。
昨日は分からなかったがよく見てみると、かなり細い。
人が三人並んでは歩けないであろう道幅。
咲希はなんの躊躇いも無く、路地の中をに入って行く。
相変わらず、路地の中は薄暗い。
探偵事務所の扉を目の前に、咲希は手をかけ昨日とは違い、一気にドアを引いた。
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