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「そろそろ、よろしい?」 空気になっていた対面に座るおばさんが話を戻す。 「ああ、すいませんでした。では、改めて。ご依頼は何でしょうか?」 おばさんは鞄から写真を取り出し、机の上を滑らせる。 「この子を探して欲しいの」 写真に写っていたのは一匹の猫。ノワールとは正反対の真っ白な猫だった。そして首輪は付けられていない。 「猫探しですか……、いつから居なくなったのですか?」 「一昨日の夜からよ。普段は餌を食べに家に帰ってくるのだけど、その日は帰って来なかったわ」 話を聞く限り、どうやらその猫は昼はいないが、夜は毎日家に帰ってきていたらしい。 「でも、それって……」 単に飽きて愛想をつかせたのではないか、と考えるのが普通である。 「いえ! そんなことは御座いませんわ! あの子はきっと何かに巻き込まれたんです!」 すごい形相である。般若の仮面も真っ青だろう。 咲希は友亮の返事を待つ。実はまだ、依頼を完璧にこなす、ということを完全には信じていなかったので、断るのではないかと心の中では少し期待していた。 「分かりました。ご依頼一件、確かに承りました」 しかし、残念ながら友亮の返事は了承。咲希は心の中でうなだれるがもちろん顔には出さない。
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