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ここにはいないと分かったので、咲希は次のバツ印に向かうことにした。
「あれ? ……ここって……」
* * *
咲希と別れた後、友亮は最寄りのバツ印の位置で猫を捜し始めていた。
「……いませんね」
一匹ずつをチェックし終えた友亮は次のバツ印に向かおうとする。
「久しぶりだな」
不意に背後からの声。無意識にポケットに手を入れ、ナイフをしっかり握りしめる。
「おいおい、そんなに身構えるなよ。今日はそういうのじゃねえって」
「……お久しぶりですね。また負けに来たんですか?」
「てめぇ……だが今日はマジでそんなんじゃねえよ。まぁ偵察ってところだ」
友亮は振り向いた。長身で体つきはよく、隙のない身のこなし――南早 俊(なばや しゅん)。見慣れた男の姿があった。
「偵察?」
「ああ、お手柄じゃねえか。“原石”を見つけるなんざ、なかなか無いぜ?」
「……おかしいですね。どうしてあなたが知っているのですか?」
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