女の話。

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ある日女は外へ出た。 男が居なくなってから、まったく外には出なかったのだ。 三年ぶりの外の世界は眩しかった。 季節は夏。 暑さと眩しさでフラつきながら、昔男と行った散歩道を歩いた。 何もかも懐かしくて、涙が止まらなかった。 『あぁ...この店、彼とよく来たわ...うふふ...』 すると店から二人の男女が出てきた。 それは女が愛した男と、 知らない女。 二人は仲睦まじく、歩いて行く。 女はそれを呼びとめた。 『あなた!!!』 男は振り返る。 『..お前...なんでココに...』 男は驚き、そして醜くなった女の姿に震えた。 『あなた...今までどこに行ってたの? 私を置いて行くなんて酷いわ..』 女は涙を流し、 ゆっくりと男の方に近づく。 男はそれに対しゆっくりと距離を取る。 『ねぇ...あなた、その女は誰?』 女は男の近くにいた女を指差す。 男はそれな震えながらこたえた。 『...この人は...俺の妻だ...』 『え...?』 男が何を言っているのか女には解らなかった。 『...実は、お前と付き合う前から...俺には妻がいた... お前とは遊びだった... ...だから...』 その言葉を聞き終わる前に女は発狂した、 『あぁああぁああああああああ!!!!!』 頭をかきむしり、持っていた鞄の中から錆びたナイフを取り出し、腕に新しい傷をつけ始めた。 『お前!何してんだ!!!』 男は女のナイフを取り上げる為に女に近づいた。 ―――グサッ
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