『夏』

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  土が汗を吸い、それは泥となる。 泥は白いユニフォームに溶け、それは努力の証となる。 夏。 昼下がり、炎天下のグランド。 一人の少年が、額から飛び散る汗も拭わずに黙々と、そして延々とバットを振り続けている。 ユニフォームを汚す土を泥に変えながら。 さっきの練習試合。 最終回、ワンナウト満塁。 一打逆転サヨナラのチャンスに代打で起用されたものの、ショートゴロからのゲッツー。 結果は最悪だった。 たかが練習試合。 気にするな。 誰だって簡単にヒーローにはなれない。 俺はちゃんと見てるよ。 お前が人一倍練習してるのを。 .
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