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──… 「どうして?」
ビジネス街の雑音が彼の声をかき消そうとするから、
私は携帯の受話音量を上げる。
──… 「ごめんな、柚」
理由も分からないまま、
別れるなんて嫌だ。
──… 「嫌だよ、私…結城が好きなんだよ?」
これが、
大人の別れ方だと言うのなら…私は大人になりたくない。
こんな切ない気持ち、
知りたくなかった。
──… 「それは、本当に好きな男が出来たら言うんだ」
私のすべてを奪っておいて、
この想いだけを残していく。
──… 「柚、幸せになれよ」
アナタの隣で幸せになることは許されない。
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