―Ⅲ―

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「…っ」 二人って、こんな人だったんだ… 二年生になってからの一学期は、学校では常に行動していたのに、こんな一面は見たことない。 「ぷっ…」 私はいつの間にか吹き出していた。 「楓ちゃん…笑った?」 「だって、なんか、面白くて」 「雪ちゃん、楓ちゃん、キミの真面目さが面白いと」 「みのりの変態っぷりでしょ」 それからは、お互いの恋愛トークに花を咲かせた。 みのりちゃんは、バイト先の妻子もちの店長がタイプらしい。 雪ちゃんは、部活の後輩と帰り道が同じで、夏休みにはお祭に寄って帰ったらしい。 今度、三人でみのりちゃんのバイト先に押しかけて、店長さんをチェックして、似た人を探そう、という話になった。 雪ちゃんがトイレに行ってる間に、みのりちゃんが何故か嬉しそうに聞いてくる。 「…初めてのときは、痛かった?」 …私は苦笑いで、みのりちゃんの頭を叩く。 今日は殴られてばかりだわ、と泣くフリをするのが面白かった。 夕飯の支度も、明日の予習も出来なかった。 だけど、私は今日、とても大きな収穫があったように感じた。  
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