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「え。趣味、ですか。うーん…」 メインにうつるころ、色々なことを尋ねてみた。 好きな料理とか、部活はしてるのとか、嫌いなものはあるかとか… 部活はしてないらしいし、特に好きなものも嫌いなものもないらしい。 「食べるものは全般好きですよー」なんて、照れながら言うのにも、ヤバイとか思ってる俺こそヤバイ。 「趣味…歌をうたうのは、好きですね。ピアノも…」 「ああ。そうだろうね。…もしかして歌手志望?」 「へっ?」 きょとんとして数拍おいて、「あはは」と笑った。 「歌手なんてなれないですよ~。下手の横好き、ですよ、ただの」 「え。いやほんとに十分有りだと思うけど…」 「ないです~。まあ、どういうわけか山岸さんには気に入られてるんですけどね?」 …本気で冗談だと思ってるらしい。 もしかして… 「天然…?」 「え? ごめんなさい、聞こえなかった…」 いや、鈍いだけか… 食事はスムーズにすすみ、デザートのケーキをサラダ用のフォークで食べようとして、小さいフォークのある俺に、 「そのフォークどこにあったんですか?」 なんて間抜けに聞いてくる姿に、気が抜けた。 こんなにも優しい空気じゃ俺自身忘れる。 なんかまるで、あのレストランで彼女に一目惚れした俺が、ちょっと強引に食事に誘って、OKしてくれただけみたいだ。 楓が警戒心ゼロだから、そんな何度も思い描いた妄想と重ねてしまったりする。
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