第一話 「転生」

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 それで、今に至るわけだが。 (おかしい……)  山中に入ってからだいぶ経つが、これといって襲撃も無く、気配がまるで無い。  ましてや今は夜。奇襲の一つや二つあってもおかしくないんだが……。  だが、俺以外の者はそんなこと気づく様子も無く、ズンズンと進んでいく。  この先はもうすぐ山頂。  身を隠す草木も次第に少なくなってくる。 (いやな予感がする……)  なにかこの先に、俺達に得体のしれないものが待ち受けているような。  そこへ行ったらもう二度と引き返せないような。  俺の直感が、そう告げているような気がした。 (こりゃ、皆に一応知らせたほうがいいのか? いや、きっとそうだ) 「おい――」  そう決めて、口を開いたその時だった。 「ギャーーーッ!!」 「「「っ!?」」」  前方で数名の悲鳴が聞こえた。 「て、敵襲だーーっ!!」  一人が叫ぶと、周りの奴らが一斉に戦闘態勢に入る。  俺も得物を構え、周りを警戒する。 (さーて、やっとお出ましか)  色々考えたいことはあるが、そんなのは後だ。  まずは目の前にある問題を片付けないといけない。 「最近ご無沙汰だったから腕が鳴るぜ!」  久々の戦闘に、俺は知らずのうちに興奮していたのだった。
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