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「おらぁ!!」
岩山と疎林に囲まれた山中の狭い小道で、俺達は戦闘していた。
(今のでだいたい二十人目くらいか……)
槍を振るう度に呻き声があがり、また命が一つ散っていく。
大地には無数の骸が転がっており、夜でもわかるぐらい赤黒い血が地面を染め上げていた。
盗賊共は聞いていたのとは違い、妙な格好をしてした。
てっきり山賊まがいの荒くれ者を想像していたが、実際は違っていた。
俺達に次々と襲い掛かってくるのは、今の時代には見かけない白装束の、奇っ怪な集団だった。
持ってる武器は主に短刀や曲刀などの接近型で、斬っても倒してもどこから湧いてくるのか一向に数が減らない。
(にしてもこいつら……)
不気味と思った理由。
それは、相手に生気がまるっきり感じられないのだ。
まるで意思の持たない人形のような、そんな感覚。
「ぐわっ……」
「がはっ……」
こうしてる間にも味方は次々と地に倒れ、百人いたはずの人数は今では半分にまで減っていた。
(くっ、このままじゃ保たねぇ……っ!)
槍を薙ぎ払い敵を倒すも、いくら体力自慢の利家とはいえ、そろそろ限界だった。
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