意外な来客

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「三日目のテーブルは、初日に仕様したテーブルを使っていたな。遥斗くんが二日目のテーブルに傷付けた傷を、同じ様に付けたうえでな。」 「宗政さん……。凄いですね。全てその通りです。」 宗政は再びタバコに火をつけ余裕の表情を浮かべる。 宗政につられて、牧もタバコを取り出して火を付けて吸い始めると、直ぐにタバコをポケットに戻していた。 お互いが一服しながら、一瞬部屋中が静まり返った後で、宗政が口を開く。 「それでは本題だな。なぜわざと負けたのだ。三日目のテーブルは、イカサマテーブルでは無い。遥斗君に積み木を立てる事を要求された時に、君は積み木を立てて三百万を手に入れる事が出来たはずだな。」 牧はタバコを大きく吸い込んで大量の煙を吐きながら、気持ちを落ち着かせていた。 「理由は、遥斗さんが始めてだったからです。」 「どういう事だ。」 「積み木チャレンジは、僕の昔から使ってるギャンブルでした。過去の対戦した人物は、初日 負けたると、二日目も必ず負けて、それ以降は挑戦する人はいませんでした。」 「ほぅ……。」 「遥斗さんだけがイカサマの存在に辿り着き、そしてイカサマで迎え撃って来たのです。宗政さんの言う通り、三百万勝負で遥斗さんを撃退するのは簡単でした。でも、勿体ないと思ったのです。」 「勿体ないとは……。」 「積み木チャレンジに初日失敗する様な人間は、相手にもならない刈るだけの人物でした。しかし、遥斗さんは、初日失敗したにも関わらず、一時とは言え勝ちを掴む事に成功したのです。その時僕は思いました。遥斗さんはきっかけがあれば大化けするかも知れないと……。そんな彼と違う形で勝負したくなりましてね。勝ちを掴む事で更に強くなる遥斗さんを願ったのですよ。」
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