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「なるほどな……。」
違う形で勝負してみたいか……。
牧君も遥斗君の中に何かを感じたと言う事か……。
私の見る限り、遥斗君には何も感じなかったのだがな。
そう言えば、ミミも遥斗君の中に何かを感じていたな。
まぁミミと牧君の思いは空回りしたな。
遥斗君はもうスカーズには居ない。
所詮は二人の見込み違いと言う事だな。
宗政が少し考え込んでいると、牧が語り掛けていた。
「それにしても、宗政さんみたいな副社長さんが、僕の所に来て貰えるなんて光栄ですよ。」
牧は宗政に会釈して軽く頭を下げていた。
次の瞬間……。
宗政の言葉で、牧は驚く事になる。
「ビストール出身の胴元に、少なからず興味があったからな。」
「えっ……。」
『ビストール』
ビストールの名前が宗政の口から聞こえた来た事に、牧は驚き身体は固まっていたのだった。
「では、私は失礼するよ。」
宗政は立ち上がり、牧の家から立ち去ろうとしていた。
「ちょっと待って下さい。」
牧は慌てながら、帰ろうとする宗政を引き止めていた。
「なにかな。君から話しは聞けた、私にはもう用は無いのだよ。」
宗政は牧に振り向きもせずに、扉に向かうとドアノブに右手をかけようとしていた。
「吹雪京介と言う人物を知っていますか。」
牧は取り乱しながら、必死な声で一つの質問を宗政に投げ掛けた。
牧の言葉を聞いた宗政は動きを止めると、扉の前で立ち止まっていた。
二人の間には、言葉に表せない様な空気が流れていた。
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