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二千万だって……。
僕がスカーズで稼いだ金額を全額出せと言うのか……。
あまりの金額の大きさに、牧は下を向いて俯くと、宗政に頭を下げた状態で固まってしまっていた。
牧の態度を見た宗政は、溜め息を混じらせながら言葉を漏らしていた。
「声を荒げながら情報を求めていた割には、金額を聞いて悩んでいるのか……。君も所詮そんな所だろうな。」
再び牧に背を向けて立ち去ろうとする宗政に、牧は大声で呼び止めた。
「待って下さい。出します。二千万出しますから、知っている情報を教えて下さい。」
牧の声を聞いた宗政は、直ぐ様スーツのポケットからブールを取り出し操作を始めた。
宗政がブールを操作したのは、時間にして約一分程だった。
操作を終えると、宗政は牧に声を掛ける。
「今二千万確かに頂いた。」
牧が胴元ギャンブラー相手に、真剣勝負で勝ち続けて得た金額の二千万円。
牧が一ヶ月で得た金額を、宗政はわずか一分で稼いだ瞬間だった。
「……。では、京介さんの事を教えて下さい。」
牧にとって京介は、親代わりの存在だったのだ。
実の親を亡くした牧を、京介は引き取り優しく接していた。
ある日……。
京介は牧の前から突然姿を消していたのだった。
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