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牧が差し出された名刺を受け取ると、直ぐ様名刺に目を通していた。
「えっ……。」
名刺に書かれていた文字を見て牧は思わず声を挙げる。
スカーズ副社長
神龍宗政(しんりゅうむねまさ)
牧の住む一軒家に突如現れたのは、副社長の宗政だったのだ。
「牧君……。君のこの一ヶ月の胴元で勝負している姿を拝見していたんだがな。」
「は、はぁ。」
「君に少し聞きたい事があるんだが、奥の部屋で話しをしたいのだがな。」
「はい。分かりました。」
宗政の突然の訪問に戸惑いながらも、二人は部屋に移動して、椅子に向かい合う形で座っていた。
牧の目の前の副社長の姿は、歳は牧とは変わらないぐらいだが、明らかに大きな存在感は、全てを圧倒していたのだった。
目の前の一人の男に、牧は緊張を隠しきれなかった。
「スイッチが違うな。」
僅かな沈黙の後に、突然宗政が一言口にした。
言葉の意味が解らない牧は、宗政に質問を投げ掛ける。
「なんですかスイッチとは……。」
「君の中のスイッチだな。ギャンブルで勝負している時と普段の生活の時ではまるで別人だな。」
宗政は笑みを浮かべ更に話し始める。
「普段の君に用は無いな。勝負している時の君と話しがしたいのだが……。スイッチを変えてくれるかな。」
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