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宗政の言葉に、牧は表情を曇らせて沈黙していた。
俯いて微動だにしない牧に、宗政は更に言葉を浴びせる。
「君が負けたと聞いてな、三日目の勝負を録画した映像を見たのだがな……。最後は自ら負けを認めていたな。」
「……。それは遥斗さんにイカサマを見破られたからです。」
宗政はタバコを取り出すと、吸い始めて一息入れていた。
宗政の行動を見た牧は、軽く頭を下げて灰皿を差し出していた。
「牧君……。三日目のテーブルは、本当に二日目に使った積み木が立つ所が無いテーブルなのかな。」
「えっ……。」
宗政の言葉を受けると、牧は顔を上げて宗政の顔に目線を移動させていた。
牧が見た宗政の顔は、笑みを浮かべて、お前のすべてを解っている。
その様な表情をしていたのだった。
「牧君……。私は君を少なからず認めているのだよ。そんな君が、テーブルの傷に気が付かない訳が無いな。」
宗政さん……。
副社長か……。
この雰囲気と言いかなり強い。
今までの相手とは明らかに別格だ。
牧は会って間もない目の前の宗政を、一瞬でただ者ではないと判断していた。
宗政を強敵と認めた上で、遥斗との勝負の真実を語り始める。
「宗政さん。貴方には駆け引きは通用しそうに無いですね。」
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