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「宗政さんの言う通りです。僕はテーブルの下に存在する傷に気がつきました。」
「その傷をつけたのが、遥斗君と言うのも知っていたな。」
宗政さんやはりすべてお見通しですか……。
この時、先程までの宗政に対する怯えた態度は息を潜めると、牧は真っ直ぐ宗政を見つめて言葉を交わしていた。
「なぜそう思うのですか。」
「では、話しを二日目に遡ろう。遥斗君が二日目の勝負が始まると、すぐに積み木を立てる事に失敗したな。その直後、失敗したのにも関わらずに落ち着いてテーブルを見ていたな。まぁ多少の混乱はみてとれたがな。」
「はい。そうですね。」
「その後遥斗君は、正方形と叫んだな……。そして叫んだ直後、君の顔から笑みが消えたな。」
「遥斗さんがテーブルの違和感に気がついたみた……。」
「違うな。」
牧の言葉を待たずに、宗政は牧の証言を否定していた。
「君の顔から笑みが消えた理由は、遥斗君の行動を見たからだな。」
牧は、体内から沸き立つ何かを感じていた。
目の前の男の存在や力を認めた上で、この男と勝負してみたいと言うギャンブラー魂が沸いていたのだった。
牧の顔は完全に、勝負師の顔へと変わっていた。
牧の表情の変化が、先程宗政が述べた、スイッチが入った瞬間なのかも知れない。
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