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ジョージの反応に影は軽く肩をすくめてみせた。そんなジョージの横でヴィットはどっかりとソファーに座り、足を組んでだらりと腕を投げ出した。
「二人ともよく来てくれた。俺はSPW財団代表のスコット・アンダーソンだ。よろしくな。」
スコットのシンプルで快活な挨拶に、二人は親しみやすさを感じた。その挨拶にジョージは軽く頭を下げて返礼する。ヴィットは横目でスコットを見たあと、軽くため息をついてからジョージに目をやる。まるで首の座らない赤ん坊のようにソファーの背もたれに首を添わせ、全身が脱力した状態。張り詰めたままのジョージとは対照的だ。
「依頼を受けたのはジョージだぜ。ジョージがレシーブしな。」
このヴィットとジョージは同じバーの常連で、昔からの顔なじみである。この度ヴィットはめでたくバーのツケが100万を突破し、もう入店禁止寸前まで追い込まれているのだ。故に仕方なくジョージの仕事の手伝いを買って出たものの、その自堕落さは天下一品。あわよくばジョージの仕事に乗っかって労せず稼ごうというのである。
ちなみにこのヴィットという男。無職である。
「話を続けさせてもらうよ。実は数日前、ふたりのスタンド使いが襲われた。『懲罰同盟』というスタンド使いを狙う秘密組織にな。恥ずかしながら、その一部が我々SPWの中にも入り込んでいた。ふがいない事だ。しかし、その『潜入者』は二人の活躍によってすぐに捕らえられた。そして、その潜入者を締め上げてやったところ、今度のターゲットが判明した。」
「…なら、ソイツの追跡調査でも…?」
ヴィットの口角がニタリと吊り上がった。
「そういう仕事好きよ。」
ヴィットは自分の追跡術と捕縛術には絶対の自信を持っていた。なんたって元看守。逃げた囚人を追うのも取り押さえるのもお手の物である。
「だいたい正解だ。しかしそのターゲットが問題なんだ。奴らが狙っているターゲットというのが実は…。」
スコットはたっぷりと間をおいた。
「君たちだ。」
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