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上がっていたヴィットの口角が露骨に下がった。
「だから我々は君たちにそれを伝えるために、ここに呼んだのだ。だがそれだけではない。…次のターゲットは君たちと、そしてもう一人。」
スコットは一冊のファイルを投げてよこした。ジョージはそれを片手で受け取ると、パラパラとめくり始めた。中には一人の少女の写真が挟まっていた。色素の薄い金髪はまっすぐに肩まで伸び、目は青い。その長いまつげは左右に長く飛び出している。盗撮のようなモノから生徒手帳にのっているような証明写真まで、大量のスクラップが貼りつけてあった。後半のページにはその少女の略歴が載っている。
少女の名は『マリア・ドニクール』。19歳のフランス系アメリカ人。大学生だ。懲罰同盟に狙われるということは彼女もスタンド能力を有しているのだろう。
スタンド能力。パワーある精神のビジョン。破壊力を伴った心の顕現。
ジョージがパタリとファイルを閉じると、それを見たスコットは話を続けた。
「彼女を保護して連れて来てはくれないか?私からの依頼だ。」
「そういう仕事嫌いよ…まぁ金のためなら仕方ねぇ。そろそろツケも限界だからな。」
「やれやれだ…。」
ジョージはため息混じりにサングラスを中指で押し上げる。
「…どうせ狙われてるなら断っても意味は無し。…退路が無い依頼だな…仕方ない、引き受けよう。」
「ありがたい。では早速現地に飛んでもらう。場所はイリノイ州、シカゴだ。」
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