第壱和・終

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雲水はあたしに言う。 「両足八足、横行自在にして眼、天を差す時如何……?其はドクを持ち、数多のコを生む……。」 毒を持ち、数多の子を生む……。 これで、選択肢を二つに絞れた。 蜘蛛か…… 蟹か…… しかし、ここで大いなる矛盾点がある。 蟹は横に歩けるが、毒を持たない。 蜘蛛は毒を持つが、横には歩けない。 ………この二択なら、蟹と答えるべきだ。 いや、手がかりを得られなくとも、"横行自在"と"両足八足"で蟹と答えられる。 でも、おかしい。 こんなに簡単な問題なら、僧達だって答えられたはず。 "蟹"と答えられたのに何故、全員殺された? やはり"毒"を持たないから、蟹と答えさせる為の引っかけ問題…? だからこそ、私は"蜘蛛"を選択肢に入れたのであって…… 「さあ、答えは出たか?」 雲水がジワジワとこちらに近づいてくる。 時間がない……。
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