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『では先ず、あなたの最後の記憶を話してください。』
「最後……
確か、学校へ行こうとして……」
そうだ。
遅刻しそうになって急いで玄関から飛び出たんだ……
「ヤバい、遅刻するっ!?
け、ケータイどこだ!?
あと財布と鍵!!」
ドタバタと部屋を引っ掻き回して、捜し物を見つけて、
急いで玄関の扉を開けて外に一歩踏み出したら…
「行ってげろんぱっ!?」
「玄関を出た瞬間に凄まじい衝撃が……」
『そこです。
そこであなたは空間の歪みに触れたのです。』
「空間?」
『世界の歪みが現世に現れたものです。
あなたはその歪みに巻き込まれて、世界から理から外れ、世界から弾き出されてしまったんです。』
「タイム。
それってどういう意味?」
『あなたの存在が別の存在に変わってしまったんです。
そのせいで世界から拒絶されてしまった。』
「別の何かに変化した、と。
なんつーか、俺+歪み=化学反応みたいな何かで変化した異物質、みたいな感じ?」
『………………?』
姫鏡さんは暫く惚けた後、首を傾げた。
あぁ、そうだった。
この人、科学とかそういう類いのものには頭が弱いんだった。
テレビとか冷蔵庫、洗濯機、すら知らないような人だからなぁ……
三種の神器知らないってどうよ?
「あぁ、まぁ、アレだろ?
俺と歪みが合わさって、何か変なのになったってことだろ。」
『たぶんそんな感じだと思います?』
すっげぇ不安。
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