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「う〓、寒い、嘘みてぇ、何でこんなに寒いの?」
なつきは、中2、全国的に有名な観光地にいた。この高台にある病院に彼女の母親は入院中で、見舞いに来ていたのだ。観光地だというのに人が少ない。
「寒すぎ。誰もいないし。」と、不機嫌顔で歩いていると、50メートル程先の曲がり角から、数人の賑やかな男女の団体が道幅いっぱいになりながら、やって来た(邪魔!)
と、思ったが、口に出しては言えない。
(あれ?似てるけど、まさか、ありえない。)
しばらくして、
(ぎゃあ〓、本人だあ!有り得ない!有り得ない!)声にならない声を必死にだそうとするなつきの横を通りすぎる団体。
と、その内の一人が呆然と立ち尽くすなつきを心配そうに、「君、大丈夫?具合悪いんじゃない?」
と、声をかけてきた。
心配そうになつきの顔を覗き込む。長身の彼は、膝を少し曲げ、なつきの身長に合わせているので、遠目からでは、一見、キスをしているような誤解されそうなぐらいな程の至近距離だった。
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