しゃべらない女

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誰もいない休日の早朝から作業を開始した。 最初に携帯の電源を切って、裏の電池を抜いた。 次に部屋の整理をして、鏡、時計、カレンダーその他諸々一人で生きていくのに不必要なものを捨てた。 あとは、年末のような大掃除をやって、掃除道具を居間に持っていくと同時に「引きこもり宣言」と目立つように手書きで書いた紙を食卓テーブルの上に置いた。 そして、最後にカーテンを閉めて、私だけの世界が始まった。 最初の1日は、とにかく煩かった。家族が冗談のような「引きこもり宣言」を本気かもしれないと思い始めたから。 私の朝は早い。ただでさえ憂鬱な学校に慌ただしく行くのは嫌だったから、朝4時には起きてゆったりと過ごしてから学校へ向かうのだ。そうすると、下校まではなんとか心の余裕を保っていられる。 だから、朝は誰よりも早く起きて、早く起きるせいで朝食を作る担当に割り振られてしまっていた。 ところが、その日は家族が起き出す頃にはすでに万全の状態の朝食がそこにはなかった。そこから「引きこもり宣言」が本気なのかと思い始め、勢いよく私の部屋のドアが叩かれたわけだ。
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