おもちゃ屋とオレ

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「くっ…  ここまで、か…」 「…は?  お前、さっきから何?」 左腕を押さえて、体育館裏の壁に背中を預けるオレに冷たい視線を向けるのは、同じクラスの不良、タカハシ君。 高校生になっても厨二病が抜けないオレだが、しっかり自覚した上での行動な分、他より症状は軽いと自負している。 高校生活も今年で2年目な訳だが、高1の時にハジけ過ぎたせいか、その反動で、もうオレの高校生活は……ふっ…。 「…嗚呼、残念ながらオレはここまでのようだ…。」 「…お前、アタマ大丈夫か?」 冷たい視線を向け続けるタカハシ君の右手には、しっかりと握られたオレのサイフ。 つまり、オレはカツアゲされていた訳だが。 「あとは、任せたぞ…  我が同胞ょうッ?!」 「うぜー……」 セリフの途中で、途中なのに、ビンタ… 不良に、セリフの途中で、ビンタされた… 本気で面倒臭そうなタカハシ君。 だが、オレはこれくらいでは挫けない。 「つっ……  ククッ やはり私の力が必要な様だな」 「はぁ?」 「ククク… 私の力、甘く見るなよ?」 タカハシ君の視線が、どんどん冷たくなっていく。 多分、道端の毛虫の方が温かい視線を向けてもらってるだろう。 それくらい、視線が冷たい。 だが、気にせず続ける。 「見るが良い、我が力をぉうっ?!」 2度目のビンタ…。 見事に同じ場所にヒットしたせいで、頬が本気で痛い。 「もういーよ  じゃ、コレはいつか返すからー」 「あ、オレのサイフ…」 しっかりとオレのサイフを握ったまま、タカハシ君は去っていった。 …さらば、オレのサイフ(5代目) だがしかし、人が居なくなったからと言って手は抜かない。 「…ふん、人間風情が。」 …決まった。 これを言わないと、締まらない。 因みに、犬や猫が相手でも使用可。 もちろん今、周りには誰も居ない。 「…はぁ…。」 わざとらしく、物憂げな溜め息を吐いて、教室に戻る。 今のところ、イジメはない。 と、いうか、誰も相手にはしてくれない。 寂しくはないけれど。 教室には誰も居なかった。 そういえば、次は体育だった気がする。 「さて、と」 オレはモデルガンやらサバイバルナイフ(玩具)やらが入った無駄にガチャガチャ煩いカバンを持って、再び教室を出た。  
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