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向かう先は、体育館ではない。
まだ3時間目だが、気にせずに校門を出る
先生ともすれ違ったが、何も言われなかった。
このまま真っ直ぐ帰ろうかとも思ったが、昨日電話で約束した事を思い出して、近所のおもちゃ屋へ。
そこの店長とは、オレがまだ小学生だったころからの知り合いだ。
オレをこっちに引きずり込んだのは、実はこの人だったりする。
自動ドアを潜ると、初代プリ●ュアのオープニング曲が流れていた。
「いらっしゃい」
「…ああ。」
オレの姿を認めると、ヤツは表情を変えた。
時間帯のせいか、店内はすいている。
いつもどおりの挨拶を交わして、オレはカウンターに近付いた
「注文の品、入ってるぜ?」
「…見せてくれ」
オレが促すと、ヤツはおもむろに、カウンターの下から銃を取り出した。
もちろん、モデルガンだが。
「…ほぅ?」
視線で先を促すと、ニヤリとひげ面が笑う。
因みに、ヤツは名前は忘れたがあるマンガの主人公に憧れて似合わない無精髭を伸ばし、筋肉をつける!、と豪語してからは空手だか柔道だかを習い、毎朝ジョギングを欠かさない。
真面目だが、どこかズレてる。
「昨日、さる筋から仕入れたんだ」
「さる筋、ってのは?」
「そいつは、守秘義務が、な」
「…貰おう。」
「まいどあり。」
そこまで言って、オレはサイフをタカハシ君に持って行かれた事を思い出した。
…どうしよう。
「おっと、お代はいらねぇよ」
「…何を企んでいる?」
お、ラッキー。
こういうときは、今だけ付き合えば、実質タダでモデルガンが手に入る。
乗っておいて損はない。
「企んでなんか居ないさ。
ただ、オレの頼みを聞いてくれるだけでいい」
「…最初から、そのつもりだったんだろう?」
再びニヤリと笑い、ヤツは“おもちゃの八木”と胸に大きく赤で書かれた黄色いエプロンのポケットから、古びた鍵を取り出して、オレを見る。
BGMはポケモン言えるかな(初期)、にかわっていた。
「これは?」
「お前なら、わかるはずだ」
「…まさかっ…」
…何の事だかさっぱり分からない。
見たところ、おもちゃの宝箱か何かの鍵らしいが、どんな意味を持つのかは不明。
が、ここであわせなければ、モデルガンはタダでは手に入らない。
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