おもちゃ屋とオレ

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「そう、アレの鍵だ」 「だが、あいつは…」 「…ああ。  オレのじいさんが相討ちでやっと封じたんだ。  今、復活されるわけにはいかない」 どうやら、強大な魔物か何かの封印を解く鍵、という設定らしい。 ヤツのじいさんがその魔物か何かを倒して封印し、鍵を、と言いたい様子。 「だが、…」 「…?」 …どうしよう、ついて行けなくなってきた。 そんなオレの心中など露知らず、ヤツ、こと“おもちゃの八木”店長、八木 政(ヤギ マサシ)(23)独身。は、台本でもあるのかのように、スラスラと言葉を繋げて行く。 「今、アレの封印が解かれようとしている。」 「……」 「誰が手を引いているのかは分からないが、アレは復活を遂げようとしているんだ」 「…………」 「そこで、お前に1つ、頼みがある」 「………………」 「…聞いて、くれるか?」 駄目だコイツ、早くなんとかしないと…。 コレはアレだ“お前がもう一度アレを封印し直してくれ”パターンだ。絶対。 つまり、あの鍵を受け取ると、オレはソレを封印するまで、この八木 政(23)独身。に付き合わなくてはならなくなる。 そこまでしてモデルガンを手に入れるくらいなら、6代目オレのサイフを手に入れてから、また小遣い貯めてここに来た方が良いに決まってる。 フラグ回避をしなくては… 「…おっと、もうこんな時間だ  その話はまた次回に……」 「そうか、聞いてくれるか」 ち ょ っ と 待 て 。 オレの話を聞け。聞いてくれ。 お前はあれか。 いいえを選択してもひたすら同じ問いを繰り返すRPGの村長か何かなのか。 …それよりもタチ悪いな。 最初から選択肢が無いもんな。 オレの心中を知らない八木 政(23)独身。は、腕を組み、神妙な面持ちでオレを見ている。 「この鍵で、もう一度アレを封印してくれないか?」 「……ことわ」 「そうか、やってくれるか」 頼 む か ら  オ レ の 話 を 聞 け 聞いてないだろ。 絶対に聞いてないだろ。 正気か? 正気なのか? ってかマジで? ありえなくね? 本気? うそだー…。 「頼んだぞ。  お前だけが頼りなんだ」 「……わかった。」 あーあ…。 もういいや、どうにでもなれ。 この時オレは、ヤツが妖しく笑ったことに気がつかなかった―…。 第1話 END
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