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その言葉の真意が汲み取れないまま彼女に視線を向けると、無表情でどこか遠い一点を見つめている。 僕の目には、帰宅途中のサラリーマンも喫茶店に入っていく学生も映ってはいなかった。 在るのは、彼女の端正な横顔だけ。 僕の耳には、車のクラクションも楽しそうに騒ぐカップル達の声も届いてはいなかった。 在るのは、鳴り止まぬ雨の音だけ。
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