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言いにくそうに目を伏せる翔に、奈美の目が鋭くなる。
「莉子と約束してたんだから、行ってないなんて事ないよね」
「…行けなかったんだ…どうしても…」
「は?何、言ってんの。だって…7月30日は莉子の大切な日で、この町にいる最後の日だったんだよ。なのに、なんで…」
「町を出るなんて知らなかった」
奈美は信じられないように翔を見ると言葉を止め、険しい顔で再び口を開いた。
「莉子は、その日話すつもりだって言ってた。それで翔君は、莉子との約束破って何してたの?まさか、あの幼馴染みの女と一緒だったなんて言わないよね」
「…一緒だった」
奈美は怒りのあまりテーブルを叩く。その音に周囲の視線が集まるが、奈美はそのまま感情を爆発させた。
「そこまで最低な奴だなんて思わなかった。30日が、莉子にとって特別な日だって事くらい気付いてたでしょ」
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