後悔

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苛立ち、翔から目を背けた奈美の視界の隅に人影が映る。奈美は、それを忌々し気に見た。 「翔君の大切な人が、こっち気にしてるみたいだけどいいの?」 皮肉めかした言い方に、翔は奈美の見ている方に目を向ける。そこに長い黒髪の細身の女を見つけた翔は、困った顔で奈美を見た。 「今は、奈美ちゃんと話してるからいいよ」 『大切な人』と言ったのを否定せず、言葉とは裏腹に清香を気にする様子を見せる翔を、奈美は睨んだ。 「私は話す事ないから、気にしないで行けばいいじゃない。もう、翔君とは話したくないから声かけたりしないで」 「待って。迷惑ならもう話しかけない。だから、莉子に伝えてよ」 去って行こうとする奈美の肩を翔が掴むと、奈美はその手を払い落とした。
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