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「そんな顔するなよ。俺と莉子の問題だって言ったろ」
何か言いた気な清香を横目に、翔は教室に向かい歩き出す。
「待ってよ、伊藤さんは…」
「翔、清香、久し振り」
清香が翔を呼び止めようとした時、後ろから聞こえた低い声に2人は振り返った。
黒髪に高い身長。引き締まり日焼けした顔は、以前より男っぽくなった印象を受けた。
「よお、和真。生きてたんだな」
「おかげさまでな」
いつもの翔の軽口に、和真は柔らかな表情を見せた。
「和真、久し振り。焼けたわね」
「ああ。気分転換に、休みの間毎日走ってたんだ」
爽やかに答える和真を、清香は切なさと眩しさの入り交じった瞳で見つめる。
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