後悔

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職員室に行き莉子の担任に聞くと、祖母の看病の為に母親とこの町に来ていた莉子は、祖母が亡くなり父親の赴任先へ引っ越したと言われた。 進路相談の際、母親から祖母の死後は転校させたいと相談されていたが、夏休みに入り急に転校届けが出されたらしい。 看病の事も、祖母が死んだ事でさえ莉子からは聞かされていなかった。こっちに来た理由も、父親が転勤族だと聞き、勝手にそれでだと思い込んでいた。 思えば、莉子はあまり自分の話しをしなかった。そして、俺も聞かなかった。 付き合う相手の事は知ろうと思わない。知ったところですぐ別れるし、その分だけ相手はこっちの事にも詮索や干渉をしてくる。 だから、聞かない方が、知らない方が都合がよかった。それに、相手に関して今まで大して興味もなかった。 そんな自分に反吐が出る。
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