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「最悪!あんたみたいな顔だけの男、こっちからフッてあげるわよ。さよなら」
肩を怒らせ人混みに消える女を見ながら、翔は赤くなった頬に手を当て、自己嫌悪のあまり道にしゃがみ込む。
「ホント、今のは我ながら最低だよな。あれくらいの事で、女の子相手にイラつくなんて、俺もどうかしてる」
翔は自分を嘲笑い喉を鳴らすと、悲し気な顔で前髪をかき上げた。
「嘘でも言える、ただの言葉だ。…なのに、なんで…」
辛そうに呟いた翔の言葉は、最後まで続く事なく、誰にも届かないまま街の雑音に消えた。
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