さよならの忘れ物

後悔

じゃあ、この場所は？
初ﾃﾞｰﾄ、初ｷｽ、それとも初…

「いや、いや、莉子と外では…ないな」

浮かんだ考えに1人突っ込みを入れ、付き合った頃を思い出す。

正直、莉子と付き合い始めた頃の事は殆ど覚えてない。初ﾃﾞｰﾄの場所も、ｷｽも、した時も…。

この場所もﾃﾞｰﾄで何度か来た記憶はあるが、誰と来たのか、その中に莉子がいたのかまで覚えてない。

たくさんの女と、適当に付き合った。最初は、莉子もその中の1人でしかなかった。いつ特別になったかなんて分からないし、好きだという自覚さえあまりなかった。

付き合っていた時、莉子はよく好きだと言ってくれた。いつからかは忘れたが、それを言わなくなったきっかけは覚えてる。

俺が言わなくさせた。
付き合ってる女に好きだと言われるのは苦痛だ。それを、俺は相手に返せないから。