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和真はイヤホンを外し携帯をポケットに入れると、莉子の手を優しく握る。
「行こうか」
莉子が頷くのを待って、和真は歩き出す。歩調を合わせ並ぶ和真に話しかけようとした時、前から気になっていたショップが目に止まった。
莉子が何か言う前に、和真の足はそのショップへと向かう。
和真は、いつもこう。言葉にしなくても、私の気持ちに先回りしてくれる。ちゃんと見ていてくれてる。それが、とても嬉しい。
和真の手を両手でギュッと握ると、伝わったのか和真は優しく笑った。
和真との生活は穏やかで、不安なんてない。どんな事があっても、和真は側にいてくれる。だから、大丈夫なんだと思えた。
いつか翔と再会する事になるだろうと、和真と付き合うと決めた時から覚悟してた。今さら躊躇う必要はない。
莉子は繋いだ手に力を入れ、和真の横顔を見る。そして、再びあの町に行く決心をした。
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